天羽 恵 『もゆる椿』
2025-10-26



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金木犀の香りがしたと思ったら、すぐに寒くなってしまいました。
秋と春がなくなり、夏と冬だけになってしまうのでしょうか。

わんこたちはシニアなので、心配です。
特に兄犬は今年、暑くなったとたんに調子が悪くなったので、今は天気のいい日中にお散歩させています。
ママも寒くなると痛めていた腰と、今年から手が腱鞘炎になり痛みが出てきました。
わんこたち共々、できるだけ身体を温めて動かすようにしますわ。


第六回大藪春彦新人賞を受賞した天羽恵さんのデビュー作を読んでみました。

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二十歳の真木誠二郎は三人兄弟の次男坊の冷や飯食い。
弟の文三郎は長崎で蘭方医になるべく遊学中だが、誠二郎は唯一の取り柄である剣術で身を立てようとしたが、彼のような腕前の剣客は履いて捨てるほどいると諦観するようになっていた。

しかし、チャンスが訪れる。
裏目付の佐野に見込まれ、士官への道が開かれたのだ。
御役目は尊王攘夷派の黒幕を謀殺するために江戸から京まで赴く刺客の共をするというものだ。
刺客は”里の者”と呼ばれる殺生を生業とする者だという。
”鬼のような刺客”との御役目を無事に果たすことができるかと不安に思う誠二郎。

指定された品川宿の播磨屋に行くと、現れたのは下女奉公の町娘そのものの十二歳の美津という娘だった。
美津は傍若無人の大食い。何故か誠二郎を気に入ったようだ。
こんな子どもが刺客役という荒事をできるのかと疑問を持つが、美津は目に天賦の才があり、里で刺客の技を仕込まれていた。
「生来の臆病者で切った張ったは苦手だが、いざという時はためらわず刀を抜ける男でありたい」という誠二郎に美津は剣の稽古をつけてやると言う。

こんな二人に待ち受けていたのは…。

お美津が今時のギャルっぽくて、彼女に翻弄される誠二郎が面白かったです。
十二歳の少女には壮絶な過去があり、刺客になったのにも深い事情があったのです。
そのことを知って、人を切ったこともない誠二郎がお美津を護ろうとするところがいいですね。

今までにない時代小説で、若い人に受けるかもしれません。

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[歴史・時代小説]

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