私は結構本をタイトル買いすることがあります。
特に時代小説は面白いタイトルが多いような気がします。
この本もタイトルに惹かれて読んでみました。
おけいは火事で両親を亡くし、十一歳の弟と共に戯作者の祖父のところに身を寄せている。
祖父の筆名は「寄木古茶」といい、おけいは祖父の原稿の清書をしている。
おけいは戯作者志望だが、まだ書けていない。
弟の幸太郎は幽霊の類が見える。
幸太郎は「見えないものが見える」ことから祖父書く読本『雪姫道中奇談』の挿絵を描き、評判になっている。
ある日、大伝馬町の油問屋・安房屋の主人夫婦の心中事件が起こる。
友だちのお奈津にのせられたおけいは戯作のネタになるのではないかと思い安房屋に行ってみると、因縁のある岡っ引きの伝三郎に会ってしまい、ほうほうの体で逃げ帰ってしまう。
それからしばらくして、安房屋に夜な夜な幽霊が出るという噂が出る。
よせばいいのに、おけいは俄然興味を持ち、幸太郎を霊験あらたかな神司の格好にし、安房屋に乗り込む。
すると、別の拝み屋とかち合ってしまう。
うまくその拝み屋に取り入り、共に幽霊を待つが、何かおかしい。
おかしなことは続き、伝三郎からおけいと幸太郎の二人も探索に加えると言われる。
おけいは事件を探りながら、祖父の言葉、「人の心は見えぬ。おまえはその見えぬものを見ようとしている。そして、それを言葉にしたいのだろう」を胸に執筆を続けていく。
おけいは私の好きなタイプじゃないですが、弟の幸太郎がとても姉思いのいい子で、彼が出てくるのを楽しみに読み進んでいきました。
事件の真相は目新しくありませんが、今では誰もが知っている精神疾患が出てきて、麻宮さんは初読みなのでわかりませんが、こういうものを取り入れながら時代小説を書く人なのでしょうか。
おけいが事件に関わる人の胸の内をどのように書いていくのかが読みどころとなっています。
タイトルはそれなりにお話の内容を表していますが、イマイチですねぇ。
二作目も出ていて、『震える羊羹舟』だそうです。
まだこっちのタイトルの方がよさそうですねww。
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