ある日、店主の遠藤から楽譜を渡される。
それは戦後日本を代表する作曲家が書いた無伴奏ヴァイオリン曲<トランスルーセント>の自筆の楽譜で、販売価格が二百万というものだ。
今度の読書会で弾いて欲しいというのだ。
三年間、ヴァイオリンに触れていなかったが、国分は弾くことにする。
「美しい音だけが音じゃない。がむしゃらに生きていれば、雑音も出るし騒音も立つ。それが当たり前なのかもしれない」
「夜更けより静かな場所」
吉乃は最後の読書会から八カ月経つが、伯父とは会っていなかった。
就職の内定がなかなかもらえず、やっともらえたのが七月で、それから卒論の執筆で忙しかったからだ。
久しぶりに<深海>に行き、片付けていると、伯父が書いた自伝『夜更けより静かな場所』が見つかる。
初めて知る伯父の過去・・・。
「居場所は必ずしも探すものじゃない。自分でつくったっていいはずだ」
「誰もが、選択と偶然の連続を生きている」
吉乃は「小さな選択」をする。
岩井圭也の本を読んでいないと思っていたら、読んでいました。
意外でしたが、とても好きなお話です。
読書会に参加したことがありませんが、こんな読書会なら参加してもいいかもしれませんね。
課題図書は架空の本ですので、探さないようにしましょう。
もしあるなら、私は『真昼の子』を読んでみたいです。
簡単に言うと、本の中の登場人物たちが本や楽譜などを通し、自分を見つめ直し、ある選択をしていくというお話です。
最後の伯父さんのした選択はよくわかりませんでした。
理由のない、漠然としたものからそうしたのでしょうかね。(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)
特に本好きな方におすすめしたい作品です。
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