砥上裕將 『11ミリのふたつ星』
2025-01-29


「第4話 チェリーレッドスポット」
北見眼科医院では社員旅行としてグランピングに行った。
野宮も参加するが、夜中に天体の撮影をする丘本さんを手伝うことになる。
バーベキュー後、丘本さんと山頂に行くと、前に会ったことのあるオジサンが撮影をしていた。
ところが急にオジサンが倒れたような音がしたので、大丈夫かと聞くと、右目が突然、見えなくなったと言う。
どうも動脈閉鎖が起ったらしい。
携帯の電波が入らないので、急いで下山して、救急車を呼ぶことにする。

「第5話 11ミリのふたつ星」
野宮は久しぶりに実家に帰った。
家族のみんなは彼がまともに働けていることが疑わしいみたいだ。
親族たちと外食に出かけたときに、野宮は従弟で高校生の大輔がスマホでゲームをずっとしているのが気になった。彼の目に気になるところがあったのだ。
野宮は大輔に自分が投げたボールを50回連続して受け取れたらお小遣いをやると言ってやってみる。すると、元野球部員だというのに、大輔はボールを捕れない。
何度も投げ返すが、捕れない。
大輔はスマホ内斜視になっていたのだ。

前回の本の中に出て来た緑内障の門村さんが会社を辞め、ピアニストをしながら喫茶店で働いているんですね。
三井さんといういい人と出会えてよかったですね。
三井眼科医院みたいに地元に根付いた病院があるのは羨ましい限りです。
地方にある病院だからでしょうか。
患者も医療従事者も地元の知り合いというのはいいですよね。
このお話ではそのことが上手く活かされています。
緑内障やら糖尿病網膜症、斜視などという一生付き合っていかなくてはならない病気ではありますが、周りのサポートを得て、希望を持って生活していけるのですもの。
このお話のような世の中であって欲しいと思います。

斜視について、よく知りませんでした。
この本を読んで、斜視は放っておいてはいけないものだということがわかりました。
幼いお子さんがいらっしゃる方は第1話が参考になります。
子供の場合は三歳から訓練を始めることが望ましいそうですので、注意してください。
三歳児健診で斜視であることを見逃せられることがないといいですね。

スマホ依存症という言葉があるぐらい、街中や電車の中でスマホをいじっている人が沢山います。
目に悪いと言われていますが、視力が落ちるぐらいかなと思っていたら、そうではないのですね。
スマホ内斜視についてはネットで調べられます。
面倒な方はこちらをご覧下さい。

ぶっちゃけ、北見眼科医院のような眼科は現実にはないと思った方がいいでしょう。
個人病院で斜視の子の訓練をやってくれる視能訓練士なんていないでしょう。

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