やっと桜が咲き始めました。来週、花見に行けますね。
「紙鑑定士」シリーズの三作目。
FILE:01 クイズと密室と紙と
西新宿に渡部紙鑑定事務所をかまえる紙鑑定士兼紙営業士、渡部圭は『月刊KAMI-ZINE』という創刊二周年を迎えたばかりの新しい雑誌を見ているうちに、二周年記念特別企画として懸賞付クイズコーナーがあるのに気づく。
題して、『紙人32面相の紙ってる!推理クイズ』。
懸賞金10万円に引かれ、応募してみることにする。
クイズは有名なトリックの一つ、”密室”がテーマ。
その日は用事があったので、とりあえず、クイズは置いておいて、渡部は高尾にある旧知のプロモデラー、土生井登の家まで行く。
土生井と渡部で共同開発企画”ディオラマ運搬用紙器”を考えていたのだ。
その時、渡部はカンニング事件の事件現場だという塾の教室のジオラマを見せてもらう。
土生井はその塾の教師からどうやってカンニングをしているのかわからないと愚痴られ、世話になっているから謎を解いてやろうと思ったそうだ。
興味を持った渡部は何か思いついたら知らせると告げ、辞去した。
別の日、渡部は中堅総合出版の<竹井書店>の本社に呼ばれた。
男児向け雑誌『ボーイズ・デイ』の付録についての相談だった。
そこで手帳はどうかという話になる。
翌日、再び呼び出された渡部は、編集長が持って来た古い手帳を見ているうちに、ある紙にピンとくる。
カンニングの方法がわかったのだ。
FILE:02 紙と密室とクイズと
二月になって、東京・埼玉・神奈川のいくつかの図書館で、「さわるときけん けがするで カミ人30面相」という一文を書き、カミソリを貼り付けた紙片が本の間に見つかる。
渡部は老舗の中堅紙商<自然堂紙パルプ商会>の創業者の一人娘、自然堂真理子から<頌叡出版>の文芸編集の人が容疑者だと聞く。
たまたま頌叡出版の紙材担当者と会う予定があったので、探りを入れようと思っていると、相手から話を持ちかけられる。
容疑者とされている文芸の橋本の潔白を証明して欲しいというのだ。
旧知の神奈川県警の石橋和男刑事に電話をすると、向こうも渡部に用事があったらしい。
幸運なことに、渡部は証拠品の紙を見ることができた。
その紙はPPC用紙、ようするにコピー用紙だった。
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