水村舟 『県警の守護神 警務部監察課訟務係』
2024-03-01


第二回警察小説新人賞受賞作。
第一回でも最終選考に残っていたそうです。

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<第一部 H署地域課>
桐島千隼はメダリストでもある、元競輪選手の新人警察官。

ある日、女性の悲鳴が聞えたとの通報があり、千隼と牧島巡査部長はパトカーで出動する。
途中で少年が乗っているオートバイと出会う。
少年はパトカーの行く手を遮るように蛇行運転をはじめたが、バランスを崩し、倒れ、少年はオートバイから振り落とされてしまう。
千隼は牧島に止められたが、少年を助けに行くが…。

千隼が気づくと、そこは病院だった。
スマホで行くはずだった現場のことを調べてみると、駆けつけた女性警察官が拳銃を一発発砲したという記事があった。
防犯カメラに発砲の瞬間が写っていたらしく、動画がネット上に拡散していた。

バイク事故のことを調べると、バイク事故の現場に車が突っ込み、バイクを運転していた少年と、居合わせた警察官が撥ねられ、車は現場から逃走し、少年は搬送先の病院で死亡が確認されたという。

思ってもみないことが起る。
千隼が少年の遺族から、事故の責任を問われ、訴訟を起こされたのだ。
千隼は警察署内での勤務を言い渡される。
しかし、いつまで待っても本部の裁判担当は現れない。
千隼が警務部監察課の訟務担当係に電話をしてみると、警察学校の教官だった瀬賀俊秀警部補が電話に出た。
千隼は心身の不調を訴えているので、総務担当に面会させることができないと、副署長に言われたというのだ。
愕然とする千隼。

翌日、瀬賀と荒城巡査長がH署にやって来る。
荒城は裁判官から転職した、弁護士資格を持った警察官で、訴訟のプロだという。
彼の真実よりも勝利を求める強引なやり方に千隼はことごとく反発していくが‥。

<第二部 本部観察課訟務係>
千隼は瀬賀の後任として県警本部観察課訟務係に転属した。
ある日、裁判所から訴状が送られてくる。
訴訟代理人は丸山京子弁護士、訴えられたのは国田リオ巡査。
千隼が事故にあった日に向かっていた現場の事件だ。

瀬賀は勝つためには手段を選ばない。
千隼は不正には手を貸したくない。

調査を進めるうちに、発砲事件は千隼の事故とも関わっていることがわかる。
そして、次々と明らかになっていく、H署の隠蔽行為。
はたして千隼たちは勝てるのか。

民事訴訟というものは、真実でなくても、裁判官に真実だと思われればいいんですね。

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