田村 隆一 『詩人からの伝言』
2009-08-07


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詩人の田村隆一というと、「四千の日と夜」が好きです。

一遍の詩が生まれるためには、
われわれは殺さなければならない
多くのものを殺さなければならない
多くの愛するものを射殺し、暗殺し、毒殺するのだ
         (「四千の日と夜」より)

ひとつの沈黙がうまれるのは
われわれの頭上で
天使が「時」をさえぎるからだ
         (「天使」より)

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きていたら
どんなによかったか
        (「帰途」より)

きみはいつもひとりだ。
涙をみせたことのないきみの瞳には
にがい光りのようなものがあって
ぼくはすきだ
          (「細い線」より)

私は現代詩人の男性のなかでは彼と谷川俊太郎が好きです。
残念ながら田村さんは1998年に亡くなっています。
ですから、この本は、晩年の彼が言いたい放題、まあ、飲みながら話したという感じです。
私達も彼と一緒に飲みながら、おじいさんの話を聞くという風に、軽く読んじゃえばいいでしょう。

言葉にこだわった彼の次の言葉が印象に残りました。

「国際化。つまりインターナショナルって声高に言われるけれど、ナショナリティーがなくてインターナショナルなんてありえないんだよ。もしあるとすれば、そんなものは単なるファッションにしか過ぎない。
言葉も同じさ。日本語が豊かになって、はじめて外国語も豊かになるんだ。母国語というナショナリティーの充実が、豊かなインターナショナルを育むのさ。」

もっともっと美しい日本語を読まなければと思いました。
[日本文学]

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