禺画像]
詩人の田村隆一というと、「四千の日と夜」が好きです。
一遍の詩が生まれるためには、
われわれは殺さなければならない
多くのものを殺さなければならない
多くの愛するものを射殺し、暗殺し、毒殺するのだ
(「四千の日と夜」より)
ひとつの沈黙がうまれるのは
われわれの頭上で
天使が「時」をさえぎるからだ
(「天使」より)
言葉なんかおぼえるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きていたら
どんなによかったか
(「帰途」より)
きみはいつもひとりだ。
涙をみせたことのないきみの瞳には
にがい光りのようなものがあって
ぼくはすきだ
(「細い線」より)
私は現代詩人の男性のなかでは彼と谷川俊太郎が好きです。
残念ながら田村さんは1998年に亡くなっています。
ですから、この本は、晩年の彼が言いたい放題、まあ、飲みながら話したという感じです。
私達も彼と一緒に飲みながら、おじいさんの話を聞くという風に、軽く読んじゃえばいいでしょう。
言葉にこだわった彼の次の言葉が印象に残りました。
「国際化。つまりインターナショナルって声高に言われるけれど、ナショナリティーがなくてインターナショナルなんてありえないんだよ。もしあるとすれば、そんなものは単なるファッションにしか過ぎない。
言葉も同じさ。日本語が豊かになって、はじめて外国語も豊かになるんだ。母国語というナショナリティーの充実が、豊かなインターナショナルを育むのさ。」
もっともっと美しい日本語を読まなければと思いました。
セコメントをする