富永愛 『医療過誤弁護士 銀子』
2025-07-19


元外科医で現役弁護士をしている富永さんが書いたリアルな医療過誤事件だそうです。

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白川銀子は45歳の医師免許を持つ、医療専門の患者側弁護士。バツイチで娘が一人いる。
元総合病院の医療事務長だった金さん(美山金次)が彼女の弁護士事務所の事務局長をしている。
事務所は東京八重洲の小さなビルの三階にある。
医療訴訟の日本全国での患者側勝訴率は20%弱で、請求金額の半分以上を獲得するのは数十件のうち1件にしかならない。
それなのに銀子は全戦全勝だ。

ある日、「病院に殺された」という電話がくる。
千葉県にあるあけがた病院で直腸がんのステージ1の夫が、開腹手術を受けたが、手術後三日目の夜に急に大出血がおこり、緊急手術をしたが亡くなったというのだ。

あけがた病院とは因縁があった。
銀子が初めての担当した医療過誤事件が起こったのがあけがた病院だ。
十四年前、銀子は医療過誤訴訟を専門にする患者側弁護士の寺山美和の事務所で雇ってもらおうとしたが、雇ってもらえなかった。
無報酬でいいから仕事を教えてほしいとお願いしたら、「いっしょにやる?」と言われたのが、あけがた病院で起こった二十代の健康な女性が「手術台の上で」死んだという事件だった。

銀子は言う。
「私のような存在は先生方にとって反逆児であり、異分子であることはわかっています。(中略)私のような必要悪がいなければ、下手な外科医は反省しないし、保険会社が儲かるだけです。そして遺族たちはいつも泣き寝入りするしかないのです」

銀子は患者やその遺族の無念を晴らすために、再度、あけがた病院と戦うことになる。

私は三回、手術を受け、後遺症もなく過ごしています。
手術をしてくれた医師たちには感謝の気持ちしかありませんが、もし後遺症があったらと考えると、運が悪かったと思うしかないんでしょうね。
もし命に関わらない手術のはずが、死んでしまったら、家族はどうするでしょう。
もしものことを言ってもしょうがないですが、たぶん泣き寝入りするでしょうね。
医療過誤訴訟で患者側がの二割が勝訴とは、驚きました。
限りなく0%に近いと思っていましたから。

銀子は富永さん自身をモデルにしているらしいですが、ちょっと疑問です。
銀子みたいな弁護士が本当にいたら、まともに暮らしていけないですよ。
たった二割が勝訴し、その内の十件に一件が請求金額の半分以上を獲得するのですからねぇ。
ほとんど手弁当じゃないですか。
そんな清廉潔白な方、いますか?

実際に医療過誤弁護士をなさっている方がこう書いています。

「過ちは過ちとして素直に認め、謝罪・補償する。患者・遺族がわざわざ弁護士に委任することなく、早期に紛争が解決されるのが、患者側だけでなく、医療機関側にとっても望ましいと思う」(「せとうちオリーブ弁護士事務所」のHPより)

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[日本文学]

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