2018年8月15日。
宮城県本吉郡南三陸町歌津吉野沢の仮設住宅で他殺死体が見つかる。
発見場所は出入り口がすべて施錠されていた。
密室殺人なのか?
被害者は町役場の仮設住民の担当者、掛川勇児。
吉野沢の住民は災害公営住宅への移転が進み、仮設住宅には三世帯しか残っていない。
宮城県警の笘篠誠一郎刑事と蓮田将悟刑事は、掛川と仮設住民との間に何かトラブルがあったのではないかと考え、捜査を始める。
蓮田は仮設住宅で幼馴染みの四人組の一人、大原知歌と遭遇する。
かつて蓮田と知歌、祝井貢、森見沙羅は腹違い四兄弟と言われるほど、仲がよかった。
しかし、彼らが高校三年の時に、蓮田の地方紙の記者である父親が、祝井建設を経営している貢の父親と呉竹県議会議員の収賄疑惑をスクープし、貢の父親と呉竹は逮捕された。
その後、呉竹の後釜になったのが沙羅の父親の森見善之助だった。
高校卒業後、蓮田は生まれ故郷の南三陸町から仙台市に引越しており、震災の被害は受けなかった。
蓮田は貢に負い目がある上に、震災で自分が家族も財産も何一つ失わなかったことに後ろめたさを感じ、家族を失った彼らと連絡を取れないでいた。
知歌は現在、NPO法人<友&愛>でケアマネージャーをしており、驚いたことに、知歌と貢は付き合っていたはずなのに、貢は沙羅と結婚したという。
捜査は難航する。
笘篠に二課に連れられていった蓮田は、仮設住宅が建っている高台は国が保証する一等地であるため、再開発が公になる前から、公共工事に関わる県議会議員と震災復興の公共工事に関わる地元建設業者の間で贈収賄が行われることがあるので、特定の何人かに注目しているということを聞く。
掛川が殺されたのは、再開発がらみなのか?
地元で大規模な工事を扱える業者といえば祝井建設。
そして、森見県議会議員と貢は義父と婿の関係。
蓮田は貢に会いに行く。
東日本大震災の7年後のお話。
辛い話しになると思ったので、なかなか読み進めていくことができませんでした。
今回の主人公、蓮田は被災者に対して負い目を感じながら生きているため、捜査中に家族のことを聞かれるたびに自分を卑下します。
それだけではなく、今回は友情と警察官としての職務の間で揺らぎます。
そんな蓮田は警察官として失格です。
しかし、そこはベテランの笘篠がわかっていて、そんな蓮田を見守りつつ、ここぞという時に、彼に警察官としての職務を全うするように迫ります。
本心を言うと、もっと笘篠さんに活躍してもらいたかったですわ。
貢とのことは仕方のなかったことだと思います。
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