鏑木蓮 『見えない階ー心療内科医・本宮慶太郎のカルテ(2)』
2022-06-28


「苦しんでいる人に寄り添う医師でありたい」という心療内科医・本宮慶太郎が、傷ついた人たちの心を癒やしながら、事件を解決に導いていくシリーズの第2弾。
見えない轍』の続編です。

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『見えない轍』では患者の女性が言ったことをまともに取り、事件に何ら関わりがないにも関わらず、事件を調べちゃった本宮医師ですが、今回はそういう不自然さがなくなりました(たぶん、笑)。

本宮慶太郎は経営コンサルタントをしている親友の沢渡恭一に乗せられ、京都市内の町家で分院を開業することになっちゃいます。
京都府相楽郡精華町に自宅兼クリニックがあるのにですよ。
というのも、開業してから三年が過ぎても相変わらず患者が来ないんです。
このクリニックの敷地はクリニックのスタッフをしてくれている妻の澄子の父親のものなのでどうにかやっていけてたのですが、そろそろ暮らしも立ちゆかなくなってきました。
そんなわけで、止めればいいのに沢渡に相談しちゃったもんだから、たまたま住民たちが簡易宿泊所建設に反対している町家を心療内科クリニックにしてはどうかということになってしまったのです。
京大も近いから、悩める秀才たちが来るよって言う沢渡。口が上手いね。
その上、彼は当座に必要な経費の四百万を融通するからと、ある仕事を慶太郎にやらせようとします。
その仕事とは、毎読テレビの『関西ウエーブ』の精神科医コメンテーター。
ギャラがよく、週一回鞠小路院からの中継でいいそう。
うまく沢渡に丸め込まれた慶太郎でした、笑。

慶太郎と沢渡が改築され体裁が整ったクリニックを見ていると、そこに医療用空気洗浄機システムの会社の営業マン・古堀孝昭がやって来ます。
慶太郎はとりあえず見積もりを出して貰うことにします。
実は孝昭には家に引きこもったままの五歳上の姉・友美がいました。
九年前、突然友美が親と揉めたと言って彼のアパートに転がり込み、それからずっと一緒に暮らしているのです。
引きこもりのきっかけは中学三年の時に「起立性調節障害」で入院したことでした。
この頃元気になり、孝昭の世話を焼くようになっていたのに、先月の初め頃からまた引きこもり始めたのです。
孝昭は患者のことを大事にしている慶太郎に姉のことを相談してみることにします。

孝明の話を聞いた慶太郎は友美に会いに孝昭のアパートに行きます。
その後テレビ出演の影響でクリニックに患者が来るようになって忙しくなっても、往診を続けます。患者ファースト。ぶれない慶太郎です、笑。

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[日本ミステリ]

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