町田そのこ 『52ヘルツのクジラたち』
2021-04-23


2021年度本屋大賞受賞作。
ここ何年か、似たような傾向の本が大賞を受賞しているような感じがしますが・・・。

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東京から九州の田舎のさびれた港町に引越ししてきた三島貴湖ことキナコ。
祖母が亡くなるまで住んでいた家で静かに暮らすつもりだったのに、詮索好きな村の人々は彼女に関して色々とあることないことを噂をしているようです。

雨宿りをしている時に一人の少女に出会います。
その時は話しかけても反応がありませんでした。
別の雨の日、買い物の帰り道でお腹の痛みを感じ思わず座り込んでいた時、また少女に会いました。
家まで送ってもらい、濡れたので、一緒にお風呂に入ろうとしたところ、その子に虐待の痕があることに気づきます。
しかも少女ではなく少年でした。
後から村の人に聞くと、彼は元中学校校長の孫で、障害があって話せないとのことでした。

キナコは実母と義父から虐待されていました。
家に縛り付けられていて身動きができなくて、どうしようもなかった時に助けてくれたのが、アンさんでした。
彼はキナコの声を聞いてくれたのです。
しかし親たちと関係を絶ってから二年が経った頃、キナコは男と知り合い、関係を持ち、そのためにキナコはアンさんを失い、九州の村まで逃れて来たのです。

今度は私が彼の声を聞く番だ、と思うキナコ…。

題名の52ヘルツのクジラは「世界で一番孤独だと言われている」そうです。
普通のクジラは周波数10から39ヘルツで歌うのですが、このクジラは52ヘルツで歌い、あまりにも高音なので他のクジラたちにはこの声が聞こえないそうです。
題名の付け方がいいですね。
でも題名の良さの割に、展開がありきたりで読めてしまったり、アンさんの描き方が浅かったり何なりで、ちょっと残念でした。

[日本文学]

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