近藤史恵 『歌舞伎座の怪紳士』
2020-05-15


この頃のマスク率は高いのですが、男性がしていない率が女性よりも高いですね。
なんででしょうね。

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会社で嫌なことがあり、心の病気になり、引きこもりになってしまった岩居久澄は鬱屈を抱えながら暮らしていました。
家にいながらやることは、家事と眼科医の姉の犬の世話でした。
そんなある日、父方の祖母からアルバイトが飛び込みました。
祖母の代わりに芝居を見に行き、感想を伝えるというものです。
一回五千円。久澄にとっては五千円でもありがたいバイトです。
初めて行ったのは歌舞伎座でした。そこであることを見てしまい、どうしようかと悩んでいたところ、親切な老紳士が助けてくれました。
それから不思議なことに、久澄がバイトで劇場に行くたびにその紳士が現れ、久澄を助けてくれるのです。
彼は一体誰なのだろうと思いながらも、やがて久澄は芝居の世界に魅了されていきます。

舞台を見に行きたいですねぇ。
家が上野から遠くなってから行かなくなってしましたが、今になってはあれは幸せな時代だったんですね。
コロナ以前と以後では暮らしがガラッと変わってしまいましたね。
会う人もコロナに罹っているかもしれないと思いながら接しなければならなくなるし・・・。

コロナ以後の時代は引きこもりにとっては最高なのかもしれません。
私も外に行かなくていいので、結構居心地がいいんですけど、小説に戻って、久澄さんは若いので、家にいて悶々としています。
普通の生活をしている、正社員で恋人もいる友達がうらやましいのです。
でも、そんな友達に「久澄の人生は、どこにあるの」とか「ちゃんと自分の人生に向き合ってるの」とか言われると、「私の人生はなにもない」としか思えなくなったりします。
そんな久澄も芝居を通して変わっていきます。
新しい第一歩を踏み出していくのです。

題名からサスペンスかと思ったら、違いました(笑)。
「オペラ座の怪人」を思い出すような題名ですから。
ミステリーを含んだ青春時代の躓きと再生の物語です。
ついでに芝居について、特に歌舞伎について知ることができます。

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