凪良ゆう 『わたしの美しい庭』
2020-05-08



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凪良さんはBL(ボーイズラブ)を書いている人なんですって。
そういう方だからこそ、いい意味でこういう話を書けるのかもしれませんね。

統理と百音は血のつながらない親子です。
統理は行き場のない元妻の子を引き取り育てているのです。
もちろん周りは色々と言いましたけど。
二人が住んでいるマンションの屋上には「縁切り神社」があります。
統理は元々翻訳家で、百音を引き取った時に「縁切り神社」のある実家のマンションに住み始め、今はその神社の宮司をしています。
屋上には統理が手入れをしている美しい庭があり、神社にやって来る人たちの憩いの場となっています。

今日も心に悩みと生きづらさを抱えた人たちがやってきます。
ゲイの若者、ずっと初恋の人を忘れられない女性、うつ病を患う男性・・・。
普通とは何?世間体って何?
みんな同じ価値観を持たなきゃならないの?

本には沢山のいい言葉があふれています。

「わたしはわたしを生きていけばいい」
「なにも持っていないのは哀れかもしれないけど、気楽でいい場合もあるのよ」
「誰かにこう思いなさいと言われたら、まずはその人を疑ったほうがいい。どんなに素晴らしい主義主張も人の心を縛る権利はない」
「失うことや持っていないことで得られるものもあるんだ」
「無駄に殴り合って傷つけ合うよりは、他人同士でいたほうがまだ平和」

ほんの一部ですが、心を打つ言葉がひとつはあるかもしれません。
私は「他人同士でいたほうがまだ平和」かな。

本屋大賞をとった作品より、私は『神さまのビオトープ』やこちらの本の方が好きです。
傷ついた心が癒やされる本です。

[日本文学]

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