朱野帰子 『会社を綴る人』
2019-06-14



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紙屋は何をやってもうまくできない30代の独身男。
どんなに簡単な仕事でもちゃんとできたためしがない。
派遣会社からも見捨てられ、実家に帰るしかないという時に、老舗の製粉会社に就職ができた。
読むことが好きなので、その会社の社史を読み、唯一の特技の書くことで履歴書を書き上げ、面接で社長に社史を読んだ感動を語ったら採用されたのです。
配属されたのは総務課。
あまりの仕事のできなさに、何もしないでくれと言われる始末。
営業部のおじさん連中にいじられても、同僚の女性のブログではくそみそに書かれても、それでも自分は文を書くのが上手いと思い続ける、けなげな紙屋君です。
彼は予防接種のお願いや餡パンの提案書、安全標語、社内報コラム、そして最後に三代目の社史なんかを書いて、なんとか存在意義を醸し出してました。
彼が一番、会社のことも会社で働く人たちのことも知っているのです。

それにしても彼のような人がいると、会社も困るだろうなぁと思います。
気になるのは紙屋君と榮倉さんのこれからの仲と、会社を辞めた後の紙屋君の行き先です。
まさか就職もせずに兄に面倒を見てもらうなんてことになってないでしょうね。
ただ書くのが特技ってだけで普通の会社は雇ってくれないものね。

お仕事本というよりも、これはお仕事ファンタジー本ですね(笑)。
でも、私はこんな話、好きですわ。

[日本文学]

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