六編の短編に出てくる六人の女性たちのお話です。
彼女たちはみな美術館の常設展示室にある一枚の絵に引きつけられ、その絵をきっかけに人生の舵をきっていきます。
ピカソ≪盲人の食事≫
フェルメール≪デルフトの眺望≫
ラファエロ≪大公の聖母≫
ゴッホ≪ばら≫
マティス≪豪奢≫
東山魁夷≪道≫
気になったのが、一作目のお話です。
主人公の美青がある朝起きると、「視界全体がぎゅっと圧縮されてしまったような感じ」になり、何度もドアにぶつかりそうになったり、階段を踏み外したり、壁にぶつかりそうになったりします。
眼科のドクターに診てもらって分かった病名が「glaucoma」。
緑内障です。
病院に行った時は「ほとんど手がつけられないほど進行」してしまっていて、進行を遅らせるための手術をすればしばらくはしのげるけど、近い将来、視力を失うと言われ、仕事を辞めて手術を受けることにしたというのです。
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