『
天使はモップを持って』の次の本です。売り切れになっていたので、古本屋で探すしかないかと思っていたら、文庫本で出版されました。よかった。
表紙のキリコは「奥様は魔女」風ですね。
キリコは服装からしてとっても飛んでいるのですが、結構古風な昔の女性のような価値観を持った子です。
夫の大介の家族のために奮闘しています。
掃除が彼女、本当に好きなのです。
祖母の介護で大変なのにも関わらず、自分の好きな掃除の仕事を続けようとがんばっているのです。
男って駄目ねぇ。
大介の(差別用語ですが、あえて使わせてもらいます)女々しいところ、どうにかしてよと言いたくなります。
キリコは男前です。
内容的に人の心に住む、どろどろとしたものを扱っているのですが、キリコはサラッとその悪意を受け止め、解決していきます。読後はホンワカというところがいいです。
例えば、子どもの心を掴みかねている父親にキリコはこういいます。
「親が自然に子供のことを思っているように、子供だって、自然に親のことを大事に思っているのよ。その愛情を無理に引き出そうとしたり、こねくりまわしたりして、お互いに駄目にしてしまうことはあるだろうけど、自然な状態では、子供はみんな親が好きなんだと思う」
だから反抗期の子供に「愛のある無関心」を心がけなさいと。子供が放っておいてほしい時には放っておく。しかし、いつだって甘えたい時には甘えることができるということを伝える。
お父さん、頑張ってと言いたくなりました。
モデルをやっている女の子にはこう言います。
「どんな仕事をしていたって、代わりの人はいるよ。だって、いなくちゃ困るじゃない。自分が本当に大変で休まなければならなくなったとき、だれも代わってくれないなんて困るよ。本当に困る。代わりがいないのは、友達とか家族とか恋人とか、それだけでいいじゃない」
「でも、わたしは、自分が好きだからここにいるの。ほかに代わりがいるかもしれないけど、それでもここにいたいの。だから、いいの。代わりの人に取られないように、一生懸命やるの」
好きなことを一生懸命やるということは、とってもいいことだと思います。その気持ちがいつまで続くのかが問題なのだけど。
困ったことに、いつのまにか好きなことが変わっていく場合があります。
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