坂木 司 『ワーキング・ホリデー』
2011-04-13



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坂木さんのお仕事シリーズのひとつ。

ホストをしている沖田大和のところに、大和の子供だと名乗る小学生、進がやってきました。こんな子知らんと思ったのですが、母親の名前を聞いて、ヤバいと思う大和。
進はずっと父親は交通事故で死んだと言われてきて、つい数日前に生きているのを知ったのです。
母親は父親に会わない方がいいと言ったのですが、進はお父さんがどういう人物か知りたいので、しばらく一緒にいてみたいと思ったのです。

大和と進の生活が始まりました。
進はしっかりもんで、ごみの分別にも五月蠅い奴。その上、買い物もばっちりで、料理もできる。

初めて進と一緒に暮らし始めた次の日、大和はお客をたたいてしまい、ホストクラブを首になってしまいます。
しかし、ホストクラブのオーナー、ジャスミンには思惑があったのです。彼(彼女?)は大和に新規事業のアルバイトをやってみないかと持ちかけます。
そのバイトは宅配便のドライバーでした。
ところがドライバーと言っても、運転するのはリヤカー。「ハニービー・キャリー」と名前はいいのですが、笑。

軟弱大和は仕事を無事に続けられ、進と親子として上手くやっていけるでしょうか。

結構奥が深い宅配便の世界です。
どんな仕事も一生懸命やろうとすれば、色々と考えなきゃならないことがあり、できることがあるのです。
坂木さんのリサーチの緻密さに驚きます。
次はどの仕事を書いてくれるでしょうか。楽しみです。

そうそう、この物語の続きがあるそうです。題名は『ウィンター・ホリディー』だそうで、冬休みに進君会いに来るのね。何が起こるのかしら?

最後にジャスミンの素敵な言葉を載せておましょう。

「いい、ヤマト。粗暴さというのは、奥に知性が隠れていてこそ魅力的なのよ。だから今は、読めるだけ本を読みなさい」

坂木さんのお仕事シリーズは若い働いたことのない人に是非読んでほしいです。

[日本文学]

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