この頃、日本の作家の、特に料理に関したミステリーに凝っています。探すと結構あるんです。その中のひとうが、この『禁断のパンダ』です。
一応この本、宝島社がやっている『このミステリーがすごい』大賞を取っています。この賞は海堂尊さんも取っています。
神戸で<ビストロ・コウタ>というリーズナブルなビストロスタイルのレストランのオーナーシェフである柴山幸太は、妻の綾香の友人の時山美佐と木下貴史の結婚式に行くことになります。彼の密かな楽しみは披露宴の開かれる神戸で評判の<キュイジーヌ・ド・デュウ>(フランス語で「神の料理」)の料理です。このレストランは『2007年版 ザガットサーベイ 大阪・神戸・京都のレストラン』というガイドブックの神戸料理部門ランキングの1位になっていました。
『ザガットサーベイ』とは、ニューヨーク在住の食通夫婦、ティム・ザガットとニーナ・ザガットの二人が1979年にニューヨークで創刊した、世界的に名高いレストラン評価本。
<ビストロ・コウタ>はこの本の評価では30点満点中24点で、ランキングの第4位でした。
披露宴に出てみると、新郎側の親族一同が欠席なので、幸太夫婦が新郎の両親と一緒のテーブルになってしまいます。父親はいつまでたっても現れず、母親の方はというと癇に障る事ばかりいう女でした。なんとか我慢していた幸太でしたが、そこへ新郎の祖父の中島がやってきます。彼は元料理評論家。特別製の鼻と驚異的な舌を持つ食通で<キュイジーヌ・ド・デュウ>のオーナーでした。
料理は絶妙な火加減、塩加減。料理の工程を想像できる幸太はショックを受けるほどの美味しさでした。
披露宴の次の日、水死体が揚がります。死体は通関手続きの代行をやっている木下運輸の社員の松野でした。木下運輸の社長の木下義明は昨日の結婚式の時から行方不明になっていました。
この事件の捜査をしたのは神戸水上警察署捜査第一課の刑事、青山と本多でした。
そんなある日、食通中島が<ビストロ・コウタ>にやってきます。
そして、幸太夫婦はいつのまにか事件に巻き込まれていきます。
美味しい料理がでてくるのには大満足です。作家さんは料理人だったらしので、なるほどと思いました。<ビストロ・コウタ>が近所にあれば、通いたいぐらいです。
でも内容には不満が残ります。主人公の幸太が殺人事件を解くのではないし、殺人の理由もありきたりと言えばありきたりだし。目新しさがありません。
ミステリーというのには、謎解きが今一つ。
読後の後味の悪い話でした。グロいの嫌いな人は読まない方がいいでしょう。
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