佐野洋子 『役にたたない日々』
2008-09-16


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佐野さんと言えば、元谷川俊太郎の奥様という印象しかありませんでした。
あ、そうそう、『100万回生きたねこ』という絵本は好きな絵本です。

この本は2003年秋から2008年冬までのなんてことのない日々を描いたエッセイです。
佐野さんはもう70歳になりますが、彼女の年の取り方は見習いたいほどです。
自分のボケを感じつつも、いろいろなことに悪態をつくわ、韓流にはまるわ、嫌いな人もいっぱいいて、無理にいい人にならないところが好きです。

驚いたのは、癌にかかっていて余命2年と68歳の時に言われて、それを喜んでいるんです。
担当医に死ぬまでいくらかかるかと聞き、一千万と言われ、抗ガン剤や延命を断り、なんとその後ジャガーを買って乗り回しているんです。
考えようによっては、死ぬんだからお金残したって仕方ないものね。
好きなことに使って楽しんだ方がいいですものね。
死ぬのが怖くないのかという友達に、「嬉しいよ。あんた死んだらもう金いらないんだよ、かせがなくたっていいんだよ、金の心配しなくていいだけでもラッキーって思うよ」なんて言うんです。

そんな佐野さんでも、自分が「死ぬのは平気だけど、親しい好きな友達は絶対に死んで欲しくない。死の意味は自分の死ではなく他人の死なのだ」と言っています。
彼女のように言えるといいですよね。

ホント、すごい人です。目指せ、彼女みたいな偏屈ばばあ!
[日本文学]

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