三浦しをん 『仏果を得ず』
2008-01-30


禺画像]
三浦しをんの二冊目。今度は義太夫の話です。
文楽は大学生時代に最初に見てから二回ぐらい観たでしょうか。
男性の太夫が語る女郎の話など、最初は違和感を持って聞いていたのですが、途中から気にならなくなりました。
そうすると、人形が人間のように動き始めたのです。不思議でしたね。
それが芸の力だったのでしょう。
 
高校時代はちょっとしたワルだった健(たける)は、修学旅行で文楽を観に行きます。
爆睡していたのですが、途中で何かに叩かれたような気がして目を覚まします。
その時語っていたのが今の師匠、笹本銀太夫でした。
その出会いが彼の人生を変えます。
文楽に魅せられた健は、大学に行くより好きな文楽の道を進もうと研修所に入ります。

それからの彼の日常はすべて芸の道に費やされていきます。
住んでいるところはなんとラブホ。
それもたまたま知り合った寺の息子から安くで泊めてやると言われたから。

そんな健も銀太夫の弟子になってから10年。
ある日、師匠から三味線の腕が一流だけれどもちょっと変人の兎一朗と組むようにと言われます。
師匠に言われりゃ断ることはできません。
兎一朗は相手が下手だと容赦のない奴ですが、何かワケがあってか健と組むのが嫌そうです。

健の師匠銀太夫はおちゃめなおじいさんで、甘いものと女が大好き。
健の頭をポンポン叩き、理不尽なことを平気でいいます。
この爺さん、いいかも…。

そんな健が恋に落ちてしまいます。
相手は義太夫を指導している、小学校三年生のミラちゃんのお母さん。
彼に好きな女ができたことは、みんなに知られることになり、銀太夫を筆頭にみんなに勝手なことばかり言われてしまいます。
さて、健の恋はどうなるのか?
そして、兎一朗は健の相三味線になってくれるでしょうか?

芸の道は厳しくて、長い。
文楽観に行っちゃおうかな。
[日本文学]

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