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私って日本文学にまったく疎くて、奥田英朗が直木賞を取ったことを、本を読んだ後に知りました。
だから書店に彼の本が山積みになっていたのですねぇ。
なんか聞いたことのあるような気がしたので、図書館で借りてみたのです。
直木賞を取ったから、聞いたことがあったのですね。
伊良部総合病院の暗くてきたない地下室に神経科はあります。
戸を開けると、「いらっしゃ〜い」という神経科には場違いな声が…。
声の主は、太った、ふけの浮かぶ頭をした中年男性、伊良部一朗。
ただひとりの看護師は、むっちりとした肉感的な女性、マユミ。
めったに来ない患者が現れれると、何故かビタミン注射が登場。
マユミがミニの制服を着て、胸をちらつかせながら注射を打つと、伊良部はギラギラした目で、注射される腕を見つめています。この医者大丈夫?
プール依存症の人が来たら、自分もプールに一緒に行っちゃう。
深夜のプールに忍び込もうよと言う始末。
よくいうと、自由奔放。悪く言うとナルシストで自分勝手な奴。
もちろん友だちなんていない。でも、そんなの関係な〜い。
ケータイ依存症の子が来たら、ケータイが欲しくなり、どれを買ったらいいかわからないから、新しい機種を全部買ってしまい、相手の迷惑なんか考えずにメールを出し続けます。
空中ブランコ乗りが来れば、サーカスにまで行って、ブランコに乗っちゃう。
果ては、サーカスに出てしまいます。
作家が来れば、僕の本を出版してよ、と言い続け編集者を悩まします。
すごい。
いつのまにか患者は伊良部のペースに巻き込まれ、伊良部を見ているうちに、いつしか自分のことを客観的に見ることができるようになり、治っていきます。
伊良部って、実は名医だったりして。
こんな変な神経科には行きたくないけれど、伊良部みたいな人を羨ましく思うところがあります。
みんな世間のことを気にせず、自由に生きたいと思っているんだけれど、でも気にしちゃうもんね。
本当は自由に生きていいんだよね。
そんな気になる本です。
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