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映画になって、評判だというので、どういう話かと思って読んでみましたが、あまりにも凡庸な恋愛小説でした。
主人公は一本槍歩太という19歳の男の子。
何をやりたいのかを決められず、美大2校と普通の大学1校を受け、見事落ちてしまい、仕方なく浪人しています。
父親は精神病院に入院していて、母親が居酒屋をして生計をたてています。
そういうわけもあって、進路を迷っているのです。
ガールフレンドはいるのですが、彼女とはこの頃疎遠になっています。
そんなある日、満員電車に乗ってきた女性に一目惚れをしてしまいます。
その女性は(できすぎた話なのですが)なんとガールフレンドの夏姫の姉で、父親の新しい主治医の春姫だったのです。
週末、父親のお見舞いに行くたびに、春姫と話をして、好きだという気持ちが止められなくなっていき、夏姫に別れをつげてしまいます。
春姫には悲しい過去がありました。
画家の夫が自殺をしていて、医者になったのは夫のような人を二度とつくらないようにというためだったのです。
最初はかたくなに歩太を拒むのでしたが、春姫に横恋慕する医者との出来事や歩太の父の死があり、いつしか二人は結ばれていくのでした。
ここまで読むと、良くある話と思うでしょう。
そうなのです。この後も、想像通りの展開です。
妹の春姫に二人の関係がバレ、バレたその日に春姫は流産をしてしまうのですが、医者のミスで春姫は死んでしまうのです。
『百万回泣くこと』の時も、思いましたが、愛した人が死ぬというのは、恋愛小説の定石なのでしょうか?
もっと違う恋愛を描けないのでしょうか。
そういえば、『世界の中心で愛を叫ぶ』も同じようなものでしたね。
たぶんこういう小説は十代にしか味わえないのでしょう。
ちょっぴり昔のことを思い出し、こうだったなと思うところもありましたが、ありきたりだなと、おばさんは思うのでした。
この本は今日出会った若者にあげてしまいましたが、さて彼はどういう感想をもったことやら。
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